知的障がいのある方が高齢になったら、あるいは「親なきあと」「親あるうちに」に何をすべきか、健康や安全をどう守るかといった話を続けてきました。では発達障がいがある方についてはどうなっているのでしょう。ここでは特に知的障がいのない発達障がいの方について少し触れてみたいと思います

 これまでも何度か発達障がいについて語ってきましたが、いまだに理解が進まない社会の中で、彼らが抱えるストレスは途方もなく大きいと思います。新聞記事でも特集されることが多くなりましたが、発達障がいがある人が犯罪被害者になることが多く、特に詐欺や性犯罪の被害が多くなっています。

 その要因の一つに「字義通り性」という障害特性があり、相手の言葉を無条件に信じてしまう(疑わない)当事者が「何もしないから」とだまされ性犯罪にあったり「必ずもうかるから」と言われ詐欺の被害にあったり。障がいがなくとも被害者になってしまうくらい加害者の言葉は上手であり、抗う術はありません。

 そして外見から普通に勉強や仕事ができるはず、と勝手に思い込まれ、その人たちの期待に応えられないと「ダメなやつ」とこれもまた勝手にレッテルが貼られてしまいます。周囲から冷たい扱いを受け「自分の何がいけなかったのだろう」と原因も分からないままのけ者にされたりいじめられたりします。

 こんなことが続けば学校や会社へ行きたくなくなったり、冷たい社会に参加したくないので引きこもりになったりするのは当然と言えば当然です。そして社会から一度離れてしまうと法で定められた当たり前の権利から外されてしまうことがあります。その一つに健康管理があります。不登校の子どもは学校の健康診断を受けられず、無職で引きこもっていると企業や自治体の健康診断も受けられないことがあります。

それはいったいだれのせいでしょう。本人に責任はあるのでしょうか。よく不登校や引きこもりを「努力しない」「根性がない」「頑張らない」と批判する方がいますが、そういう方自身が、いくら頑張っても認められない社会にいれば同じようになるのではないでしょうか。そう考えると責任はむしろ周囲にあると考えます。理不尽と言えば理不尽ですよね。中にはそんな社会に報復しようと考え、悲しい犯罪に走ってしまう者も確かにいます。

 そしてストレスを溜め、それを発散する方法がない場合、そのストレスは体調不良の原因になり得ます。ストレスからくる生活習慣病は多々あります。脳、心臓、胃など。あるいはがんになる背景としてもストレスが疑われています。またストレスを解消しようと酒やたばこ、ギャンブル、オーバードーズ、禁止薬物、あるいは過食などに依存してしまうこともあります。ストレス+過度の依存は健康に大きな害を及ぼします。

 またストレスから精神疾患を発症する発達障がいがあるかも少なくありません。そして中には自殺してしまう方もいるようです。ここまで知的障がいがある方の健康や命について語ってきたのですが、実は発達障がいがある方には知的障がいとは別の観点で平均寿命が短くなっているデータがあります。

 ストレスからくる病気での死亡、依存症から来る病気による死亡、そして依存症や精神疾患が原因となる自殺など。ある国の調査機関のデータでは発達障がいがある方の寿命は平均寿命より12年短く、その自殺率は一般の方の9倍になるという結果が出ています。背景要因を考えれば頷ける話です。

 ここには知的障がいがある方と同様の理由もあるように思います。体調不良をうまく他に相談できない、体調不良を自覚しても病院へ行けない、病院へ行っても医師に体調を正しく伝えづらい、入院しても集団生活が苦手なのでよりストレスを溜めてしまうなど。コミュニケーション不全によりリスクは大きいですね。

 発達障がいがある方の「親あるうちに」できること。まだお子さんが小さい方もいると思います。幼少期からコミュニケーションの重要性にはぜひ注目してください。みなさんも経験があると思います。自分の心の内を誰かに話せた、その人はしっかり話を聞いてくれた、それだけで気持ちが晴れた、という経験が。

 方法は何でもよいです。ぜひ本人に合う方法を見つけ、あるいは開発し、お互いの意思の疎通が可能になれば、障がいの有無にかかわらず多くの課題が解決していく一助になると思います。そしてそれはできるだけ小さなうちから始めるとよいでしょう。「親あるうちに」子どもが小さいうちからできることをしっかり教えて行ってください。

 このところ少し悲しく暗い話が多くなってしまい申し訳ありませんでした。しかし人間には自分たちに都合のよくない真実は隠してしまおうとする習性があると考えています。あまり聞きたくない情報でも、実はそれが我が子の命や生活を守ることにつながる場合があります。真実から目を背けず、常に新しい情報を学び「知る」ことによって解決する問題は少なくありません。この場を借りて私もどんどん情報を更新していきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

以上