今回は「学校の先生」について少し語ってみたいと思います。いえいえ、決してネガティブなものではなく、改めてこの仕事の魅力について。文部科学省は中央教育審議会(中教審)で「教員養成をもっと楽に」する改革を検討している報道がありました。まずは昨今の大学における教員養成について。

 私が勤務する大学の学科は教員や保育士の養成に特化していますので、入学する前から「先生になりたい!」と強い意欲をもっている学生がほとんどです。教員・保育士養成の教育課程(カリキュラム)が組まれていて、1週間に90分の授業を10コマ(1つの授業時間を「コマ」と呼ばせてください!)前後受けることになります。

目指す資格・免許ごとに90分の授業を4,5か月の間に15回受講すれば「あなたはこの授業を学ぶ目的を達しました」という証明として2単位が与えられます。そして1年間の上半期、下半期ごとに18~20単位程度、それを4年間にわたって修得し続け、計130単位前後で教員免許や保育士資格を得ることができます。

 私が学生だったころの昔は大学の授業はかなり緩く、怒られるかもしれませんが、欠席が多くても単位をもらえるものがありました。しかし今の大学はとても厳しく、欠席が数回あったり成績が芳しくなかったりすれば単位をもらえません。単位が足りないと教育実習に参加できなかったり、最終的には教員免許などがもらえなくなったりします。

 最近の大学の授業はとても大変である、ということをまず知っていただきたいのですが、大学がまだ緩かった頃の記憶から自らのお子さんに「大学は楽だよ」と語る保護者の方がいたり、大学は緩いだろうからたくさんのボランティアやアルバイトを募集してほしいという福祉事業者の方がいたりするので、まずはその誤解を改めていただくことが大変です!もちろん学生はボランティアやアルバイトにも出ているのですが、授業の合間を縫ったり土日を活用していたりしていて、かなり大変な日々を送っています。

 そんな状況を知ってか知らずか、文科省が教員養成に必要な単位を減らそう、と考え始めているようです。上記に語った教員養成系大学ではなく、例えば文学部で英文学を学ぶとか理学部で化学を学ぶなどの専門的な大学もありますが、このような大学でも教員免許が取得できるものの、卒業に必要な単位にプラスアルファして教員免許に必要な単位を取らないといけないので、授業の数はとても多くなります。それを避けるため教員免許を目指す学生は減っているという背景があります。

 また教員養成系の大学を授業が厳しいから、教員という職業が厳しいから避けようとする動きも確かにあります。教員の働き方改革を進めると同時に教員養成系の大学での授業の在り方も変えていこう、ということなのだと思います。このような改革で昨今の教員不足が解消されていけばよいのですが…。

 先日、妻とテレビを見ていて、ふとしたことから自分が教員を目指したきっかけについて思い出を語り合うことになりました。改めて自分が「先生っていいなあ…」と感じた機会が小学生のとき、2度あったことに気が付きました。そのうちの一つは過去にこのブログで語ったかと思います。小5の時に病気で倒れた私を泣きながら介抱してくれた若い男の先生の存在でした。日頃は強面だったのに、倒れた私の背中を一生懸命さすりながら泣いてくれたのです。

 そしてもう一つ、鮮明に思い出したことがあります。それは小学校3年生の校外学習での出来事でした。初めてお小遣いを持って出かける遠足、という意味でも記憶が明瞭でした。その日、小学校がある地域から観光バスで千葉県銚子市へ向かいました。最初に地元の醬油工場を見学し、その後犬吠埼の灯台付近で昼食となりました。

 昼食後、少しの自由時間がありましたが、海が近いため先生からは「海岸に近寄ったらダメだよ」と指示がありました。ただそんな指示を守る子どもは少なく(悪い子どもたちです!)珍しい海辺でみんな思い思いに遊び始めました。そのとき、子どもたちの間から悲鳴が上がりました!

 ある子どもが岩場の潮だまりに落ち、滑る岩に足を取られて上がれなくなってしまったのです。もちろんずぶぬれです。本人は泣くよりも先にびっくりしてしまったようで、必死に岩をよじ登ろうとするのですが何度やっても滑って落ちてしまいます。最初は笑って見ていた他の子どもたちも徐々に静かになって行きました。

 そのときです。男性の教頭先生がスーツのまま潮だまりに飛び込み、ずぶ濡れになってその子どもを助けた上げたのです!その教頭先生は普段は少し怖い雰囲気があって近寄りがたい存在でした。そんな先生が子どものためにずぶ濡れになっている。まだ10歳にも満たなかった私の心の中に静かな感動がありました。「先生ってすごい!」。

 私の前で涙を見せた先生、子どものためにずぶ濡れになった先生。決してカッコよい場面ではなかったのですが、子どもの危機に教員として、人間として、素の姿を見せた彼らに物凄く共感しました。いま考えると、それがいまの私を形作る基礎になったのかもしれません。

 カッコよかったり力が強かったり優しかったりする先生はもちろん人気があると思います。でも困っている、弱っている、苦しんでいる子どもたちをありのままに受け止め、彼らに共感し、素の姿で寄り添おうとする先生は、かっこよいを通り越し子どもたちの心の中に感動を呼び起こします。そんな先生に、あなたもなりませんか?なれますよ!きっと!

以上