2020年に予定されていた東京オリンピックが新型コロナウイルスの影響で1年先送りとなり、さらに2021年に実施されたオリンピックは結局無観客で各競技が開催されました。2019年までは大学でも多数の学生ボランティアを募り、千葉県内でも競技がいくつか行われることもあって、自分事のように準備をしていたのですが「まさか!」の結末となりましたね。

 同時開催される予定だった東京パラリンピックもまた無観客で各競技が実施されたのですが、自国開催ということもあり例年に増してテレビ中継が多かったように記憶しています。それまでは関心のなかった人々も、視覚障がい者による柔道や車いすマラソンなどに注目し、視聴率も上がったようです。

 実はパラリンピックには精神障がい者・聴覚障がい者は参加不可(競技が全くない!)、知的障がい者が参加できる競技はごく少数ということをご存じでしたか?。東京パラリンピックでは全22競技539種目が執り行われたのですが、知的障がい者の参加は3競技(水泳、陸上、卓球)21種目だけでした。なぜ「障がいがある方のスポーツの祭典」なのに精神障がい者・聴覚障がい者、知的障がい者が参加できる競技が少ないのでしょう?

 精神障がい者の場合は「障がいの有無の確認が困難」という理由のようです。物理的に精神障がいがあるかどうかを見極める手段はありません。聴覚障がい者の参加がないのは運営上の課題が最大の理由のようです。聴覚障がいの場合、手話通訳者などの手配が必要で、そのため運営費が高くなることがあり、聴覚障がい者スポーツの国際団体の方からパラリンピックの不参加を決めたようです。

 残念ながら精神障がい者の国際的なスポーツ大会はいまだに存在しません。しかし、聴覚障がい者にはデフリンピックという国際大会が4年に1度開催され、2025年は東京で開催されます。手話が巧みな教え子(教育公務員)は「ボランティア休暇」という制度を使って大会の手伝いに行く、と張り切っている者がいました。

 よく考えれば今の時代、大学の授業でもスマートフォンやPCにある様々なユニバーサル機能を使って聴覚障がいがある学生と比較的容易にコミュニケーションが取れるようになってきています。時代が進めば「手話通訳を必要とするから不参加」という理由は必要なくなり、聴覚障がい者もパラリンピックに参加したり、もっと言えばオリンピックにも参加可能になったりするのではないでしょうか?

 実際、聴覚障がいがあるプロスポーツ選手が増えてきました。過去にはプロ野球選手もいましたし、いまでは聴覚障がい者のサッカーチームで活躍する選手がJリーグでも選手として頑張っています。障がい者がオリンピックに出てはいけないというルールはありません。いずれIT、ICT機能の発展でこれらの垣根はどんどん低くなり、すべての人々がオリンピック参加で一本化される時代が来るかもしれません。

 さて、では知的障がい者のスポーツはどうでしょう。パラリンピックへの参加が難しくなったきっかけは一説によれば過去の大会に知的障がいを装った(?)選手が参加した競技があったからのようです。そのチームは結果的に優勝して金メダルを獲得したのですが、その国が組織的に画策した「偽装」だったことが後日発覚したため、国際パラリンピック協会が知的障がいスポーツを締め出したとのこと。

 しかし知的障がい者スポーツの国際大会自体は、実はかなり以前から実施されています。きっかけは1962年、アメリカの第35代大統領、ジョン・F・ケネディの妹さんに知的障がいがあり、さらにその妹であるユニス・ケネディ・シュライバーが姉のような子どもたちのためにキャンプを行ったのが知的障がい者の国際的スポーツ大会、スペシャルオリンピックスの起源になるという説があります。いまでは数年おきに世界各国を開催地として実施されていますが、財政的にその運営は厳しくなってきているようです。

 今回、障がい者スポーツ、中でも特に知的障がい者スポーツに焦点を当てて皆さんにご紹介しようと思いついたのは、数日前に千葉県知的障がい者サッカー国体代表チームの監督を務める教え子から、Jリーグ(J2)のジェフ千葉対ヴァンフォーレ甲府戦の前座試合を行い、いままで1度も勝ったことのなかった山梨県の代表チームと試合をし、初めて勝ったといううれしい報告があったためです。

 教え子は現在、千葉県立特別支援学校の教員を務めながら毎週土曜に淑徳大学関係のグランドを借用し、チームの練習を続けています。学生時代はサッカー部の主将を務め、卒後も国体チームでコーチをし、熱心に指導を続けてきました。その甲斐あっての勝利だと思います。

 サッカーという競技は極端に言えば他の球技と比べボールが一つとそれなりのフィールドがあれば成り立つスポーツで、国家の貧富の差を問わず世界中で楽しまれています。それは「ユニバーサルデザイン」という点でも同様で、ルールも他に比べれば比較的シンプルなので実は7種類もの障がい者サッカーがあることをご存じでしたか?

 次回は様々な障がい者サッカーについて紹介したいと思います!

以上