こんにちは。みなさんは「本物」に出会ったことがありますか?

 学校の先生は大学でしっかり勉強し、教育に必要な知識や技術を身に着けます。それを教室でいかんなく発揮し、子どもたちを導いていきます。子どもたちは先生から学んだことを活かし、やがて「大きくなったら何になりたい」と将来への希望を持ち始めます。小さなお子さんならTVに出てくるヒーローやヒロインになりたい、アイドルになりたいなど空想上の登場人物を含め実に大きな夢を持ちます。

小学生も高学年になってくると流行りのものに影響を受けます。昨今であればユーチューバーになりたい、プロゲーマーになりたい、Jリーガーになりたいなど。それは空想ではなく、現実感を伴った夢となり、中にはその夢を実現させる若者も出てきます。

 年を重ねるごとにその夢は現実的となり、高校生、大学生になれば就活という言葉に表されるように自分の思い描いた未来とは少し異なるけれど、それに近い仕事を見つけ社会参加しようとする気持ちが高まります。ただ、小さなころに抱いた夢をあきらめるのか、と言われればそうではなく、仕事と生活の合間に登場する余暇を活用しながら自分なりに夢に近づこうとする方もいます。これが自己実現(人は生まれながらにして真善美を求める)を目指すための生涯学習になるのかもしれません。

 みなさんはいかがですか?小さな子どもの頃の夢を今、様々な形で実現させようとしていますか?昔はとてもじゃないけれど手が届かなかった夢も、いまはデジタルの世界で実現できるようになってきています。歌手になりたかったのなら自ら歌唱シーンを撮影し動画サイトに投稿する、映画監督になりたかったのならスマートフォンで撮影した映像で作品を編集する、声優になりたかったのならアプリやAIを使って自作したオリジナルのアニメーションに声を充ててみる。よく考えればそれは驚くべき進化ですよね。

 そして今、どうせ学ぶなら本物を本人から、という流れも出てきています。いわゆるプロと呼ばれている人たちから直接その知識や技術を学ぶ機会を比較的簡単に得ることができます。プロの俳優さんや声優さんによるオンライン講座が盛んです。私たちとプロとの垣根が低くなっていますね。

 みなさんも体験したことがあるのではないでしょうか。小中学校に劇団が来てその芝居を観たり、オーケストラやプロの演奏家が来て素敵なクラシックを奏でたり、プロスポーツ選手が目前でその技術を見せてくれたり。その経験がきっかけとなって今の仕事を選んだおとなの方がいるかもしれません。やはりプロの知識や技術を本物から学ぶ経験は子どもたちにとってはとても重要だと思います。

 これは障がいの有無には関係ありません。私は特別支援学校に勤務していた時、自らの人脈を活かし、様々なプロの方を招いて子どもたちの前に立ってもらいました。知的障がいがあるお子さんのための特別支援学校で生活単元学習(ある具体的な経験からいろいろな学びを行う)と呼ばれる授業で劇指導(劇の練習を通じて言葉、表現力、人間関係を学ぶ)を行った時、アドバイザーとして知人の俳優を呼び、手取り足取り子どもたちに演技指導をしてくれました。

 子どもたちの目の前で模範演技を見せてくれたのですが、声の大きさや表情の豊かさなどその迫力は物凄く、子どもたちの目が輝きました。俳優の指導を受けた後も練習を重ねた劇を、ある高齢者施設への慰問として演じたところ、子どもたちの演技を見終わったシニアのみなさんは一様に涙し、その涙を見て子どもたちがさらに涙し、とても感動的な公演となりました。そして子どもたちの表現力や人間関係力が向上したことを実感しました。この時、改めて「本物に学ぶことの重要性」を知りました。

 特に知的障がいや発達障がいがあるお子さんには本物の機会を提供することが重要だと考えています。学校の先生が基礎を教え、そこにさらに学びを上積みするにはプロの力を借りることは選択肢の一つだと考えます。プロの演奏家が特別支援学校を訪問し、子どもたちが思い思いに作ったお手製の楽器と一緒に演奏する団体があります。このような経験を子どもたちの意欲・興味・関心に沿いながら柔軟に提供できる場があるとしたら、それは意外と放課後等デイサービスなら可能なのかもしれません。

 学校は年間指導計画の中で1年間を見通した活動予定を4月当初に決定します。そして多数の子どもが集まる場所でもあるので、TPOに応じ柔軟に一人一人の希望に応じて本物の学びを提供することはなかなか難しいと思います。しかし、小規模の子どもたちが集まり療育を受ける放課後デイであれば可能かもしれません。

 それをレジラボは実現していきたいと思います。俳優さん、声優さん、落語家さん、プロスポーツ選手、そのほか子どもの「やりたい」「学びたい」『ああなりたい』とする希望を実現するため、できる限り本物と接しながらプロの技術から様々な生きる力、スキルを学ぶ機会を提供していきたいと考えています。

 障がいの有無にかかわらず俳優になりたいと願う子どもがいたらプロから学び、本物の俳優を目指してもいいじゃないですか。仮にその夢が実現しなくても、自分たちで劇団を作ったり、スマホで映画を作ったりしながら子どもの時の夢をそのまま趣味として続ければ人生をもっともっと豊かに過ごせるのではないでしょうか。子どもの頃から本物の文化、芸術、スポーツ、エンターテインメントに触れることは自らの表現力、コミュニケーション力、人間関係力など、いま教育界でトレンドとなっているワード、「非認知能力」を磨くことにもつながります。

 本物を本物から学び生きる力をより高める。レジラボの放課後デイが目指す方向性のひとつでもあります。

以上